昨日はトム・ペティのレコードを聴くつもりでいた。ちょうど10年前に鵠沼海岸へ引越して、その時に聴いたのがトム・ペティの「フリー・フォーリン」だったのだ。
僕は妻との結婚が決まっていて、ふたりで暮らすための部屋を借りたのだった。そんな矢先にトム・ペティのファンだった友達が亡くなったこともあり、そんないろんなことが重なって、僕には想い出深いレコードとなったのだ。
仕事は予定していたより1時間ほど早く終わった。お酒を飲みに行こうかとも思ったけど、そんな体力は残っていなかったから、僕は頭を刈り、風呂に入り、髭を剃って、テレビのニュース番組を見ながら、ビールとワインを飲んだ。
時計の針が23時を回り、そろそろトム・ペティのレコードを聴こうとしたところ、なぜか無性にジョージ・ハリスンを聴きたくなってしまい、僕は逡巡することとなった。熟考の末、トムとジョージが一緒に演奏しているレコードを聴くことにした。トラヴェリング・ウィルベリーズの『ヴォリューム・ワン』。
ターンテーブルにのせてA面を聴いた。ひっくり返してB面を聴いたら満足した。そして、気がつけばトム・ペティの「フリー・フォーリン」を聴きたくなっていた。
美しいギターの音色。穏やかなトムの歌声。僕は2年間暮らした鵠沼海岸の部屋を思い出していた。亡くなった友達のことも。これまでの10年間の出来事も。そして、これからのことも。